太釈さんの法話なブログ 旅行記
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太釈さんの法話なブログ

高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

ご縁は度切れてはいけない

 五月下旬に滅多とないチャンスに恵まれて奈良県のお寺をお参りしてきました。奈良県にあるお寺の住職は、高野山の職員をなさっていました。その当時、私はやっとの事で住職の資格を得たばかりでした。
 私は高野山で面識のある人は誰もおらず、講習会に参加しても肩身の狭い思いをしていました。奈良県の住職は、講習会が終わったあとでも、私に気軽に声をかけてくださる方でした。
 今回の訪問は十年ぶりでしたが快諾してくださり、私がお目にかかるとご住職は笑顔で迎えてくださいました。私にとって何よりありがたいことでした。
 機会があれば長岸觀音寺にお招きして法話を頂戴したいものです。
山添村不動院 前川様

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石のお不動さん

写真を撮れなかったのが残念ですが、岩の壁面に彫られた石のお不動さんがありました。
現在の石像で三体目とのことです。過去の石像は顔の部分だけを彫りだして安置されていました。初代は、少しかわいいぐらいの顔をされていました。例えると、獅子舞の顔とでも言いましょうか。二体目からは現在私たちが良く目にするお不動さまの形相です。怒った顔をして牙をむき出しにしています。

手前のお堂からガラス越しに見せてもらいました。
年月とともに落石が増えており、見学させてもらうには危険なのだそうです。お堂では護摩祈祷をされているようでした。

徳島では見られない、珍しい石仏を見せてもらいました。

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新大仏寺

新大仏寺 境内

  三重県の新大仏寺 山門


しばらくバスに乗って到着したのが三重県と滋賀県の県境に位置する伊賀の地「新大仏寺」です。その名の通り、奈良の大仏さんの伊賀別所でもありました。何かの折には「分解して出張できる大仏」なのだそうです。

寺は木造建築なので火災に弱く、本尊も焼失してしまうことも少なくありません。御住職が命がけで御本尊を守るため火の中に分け入り、煙に巻かれて亡くなることもあります。それほどに大切にされてきた日本の仏像も、幾多の災難を超えることがあります。

新大仏寺は火災による焼失は今までにありませんでした。しかし、山間に建つ寺のため、大規模な土砂崩れに遭ったことがあります。本堂などの建物はもちろんのこと、御本尊も土に埋もれてしまいました。当時は重機などありませんので、掘り出すことは困難を極めました。

結果として、数年かかって御本尊をはじめとして三体の仏像が掘り出されました。土に長期間埋まっていたため、木でできた仏像は腐ってしまい、復元することができませんでした。大仏様だけは、首から上だけ土から顔を出しており、難を逃れましたが、それ以外は腐ってしまいました。

それから、首から下だけを新しく作り替える作業になりました。
再建に従事した俊乗房重源上人は高齢の体を押しての事業でした。完成したのは上人が86才の時です。平均寿命は50才ぐらいだったと思われる時代に偉業を成し遂げられました。

私も、これほどに打ち込むことができるものと出会いたいものです。

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観音さまの霊験

手描きの観音さん

櫟野寺のパンフレットに載っていた「観音さまの現世利益」を紹介します。

観音さまには10種類のこの世での御利益があると経典に説かれています。
1. 体が健康である
2. 仏に忘れずいてもらえる
3. 衣食や財物が備わる
4. あらゆる敵に打ち勝つ
5. 慈悲心を起こさせる
6. 毒虫や熱病に冒されない
7. 刀の難に遭わない
8. 水難に遭わない
9. 火難に遭わない
10. 思いがけない災難に遭わない

これに加えて、来世の功徳もあります。
1. 臨終で仏を見る
2. 悪行の報いを受けて地獄におちない
3. 非業の死を遂げない
4. 極楽に生まれることができる

ぜひ、ご近所の観音さまをお参りください。

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櫟井(いちい)の観音さま

櫟野寺 本堂

  櫟野寺の本堂


櫟井(いちい)の観音さまで知られるお寺です。
天台宗の教祖である最澄上人が比叡山にお堂を建てるための木材を用立てる目的で甲賀の地に来ました。その時、一本の木に観音さまを彫ったのが、この寺の御本尊です。

日本で最大の大きさを誇る観音さまで、今回私たちのために特別に開帳してくださいました。
厨子(仏像を保管する木の入れ物)は、八畳一間の大きさでした。表の扉はハンドルで開閉するようになっています。

「見上げるほど大きい」という形容をしますが、まさにその通りの大きさで、圧倒されました。
今に伝えるまで、数々の苦労があったことと思います。1度は本堂が漏電のため焼失してしまいましたが、御本尊は別棟に保管されていたため難を逃れました。これも運命なのでしょう。

とても霊験があり、坂上田村麻呂が鈴鹿山の山賊討伐をするためにこの観音さまに祈ったところ、無事に平定することができました。御礼として自ら毘沙門天を彫り奉納、家来に命じて国技の相撲も奉納しました。

奉納相撲は今でも境内で行われています。
立派な土俵がありました。毎年10月に行われているとのことです。
櫟野寺 奉納相撲

他にも、重要文化財に指定されている仏像が多数あり、「仏像群」と呼ぶにふさわしいものでした。

同行した住職曰く、「これで心底ホッとした。見応えがない旅行になったらどうしようかとヒヤヒヤしていた」
なるほど、それで表情が冴えなかったのですね。私も、同感です。よかった、よかった。

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