
新刊『人を想うこころ』~人生で大切な恩と供養の話~ が平成29年10月1日に発刊されました。
本書の一部を先読みしてもらえるようブログで公開いたします。
なぜ、供養をしなくてはいけないのか。
なぜ、恩が大切なのか。
本書で気づいてもらえるとうれしいです。
足が悪くても成仏できるのですか? 回答編
佐藤さんの質問に私が回答しました。
私は言葉を選びながら答えました。
「この世で生きている時は、肉体があります。それ故に、足が痛い、腰が痛い、内臓の病気だ、と気が休まりません。
しかし、亡くなったら肉体はこの世に置いていきます。肉体を離れて『たましい』だけとなって旅立っていきます。たましいには肉体がありません。
生前に故人の足が痛くても、腰が痛くても、内臓の病気があっても、関係ありません。故人はこの世で培った『想い』だけを持って旅立っていきます。ですから、お父さまが生前に足が悪かったとしても大丈夫ですよ。成仏(じょうぶつ)なさっているはずです」
質問した佐藤さんは、ほっと頬が緩んで、安心した顔をされました。佐藤さんは、ずっと気がかりで歩くことができないお父さまのことを心配しておられたようです。
佐藤さんは、お父さんが歩くことができずに成仏できないのなら、自分がお父さまを助けに行かなくてはいけないのではないかと思うこともあったようです。
介護が血のつながった親に対して孝行できる最後のチャンスであると知っていても、実践することは難しいものです。佐藤さんは介護という仏さまの仕事、菩薩行(ぼさつぎょう)をされたのです。
故人は、普賢菩薩(ふげんぼさつ)に導かれ、佐藤さんの菩薩行にもう一度感謝して手を合わせておられることでしょう。


