太釈さんの法話なブログ 心を込める その5

太釈さんの法話なブログ

高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

心を込める その5

老紳士が静かに話しはじめました。

「もう10年になるが、一人息子を亡くしてしまった。病死だった。何をしてやることもできず、37歳でこの世を去ってしまった。妻も先に逝ってしまった。残された私にできることは何もない。悲しさや無念さだけが残って、息子と妻の死を受け入れられない。仏壇の前に座って遺影を見ていると、せめて般若心経だけでも唱えてやりたいと思うが、途中で涙がボロボロとこぼれてしまい最後まで唱えることができない。どうしたらいいものかと毎日ぼんやりと過ごしている。
 般若心経の意味が少しでも分かれば、唱えてやれるのではないかと思うのだか。」

私は、「しまった」と思いました。

質問した老紳士は「知識」が知りたいわけではなかったのです。
般若心経を最後まで唱えられない自分の不甲斐なさに腹を立て、希望を失い、情けない思いをしているのです。どうやったらしっかりと自分の足で立ち上がり、息子や妻の死を受け入れていけるのかを知りたかったのです。

私は答えました。
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