太釈さんの法話なブログ 言葉にならないことば その1

太釈さんの法話なブログ

高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

言葉にならないことば その1

今回は「手話」の話です。
手で話をするのは神業のようです。

盲目のピアニスト、辻井伸行氏の母が行った講演会に参加したことがあります。
辻井氏が全盲なのでノーマライゼーションの配慮がありました。ステージ中央に大きなスクリーンがあり、講演の途中で辻井氏の幼い頃の写真やコンクールで表彰された時の様子などを動画で紹介してくださいました。ステージ右手に演者の辻井氏の母が座り、元アナウンサーなので口の滑りがよく目が回りそうなぐらい、口もよく回っていました。

ステージ袖には一人の女性がいました。目立たない服装で、静かに立っています。
演者が話しはじめるのと同時に手を動かし始めました。手話通訳です。
私は、つい手話通訳に目がいってしまいました。

かなり速いスピードで話している演者の話を、同じスピードで手話通訳していく。
やや疲れが見えてきた頃合いを見計らって、もう一人の女性が肩をトントンと叩きました。すると、絶妙のタイミングで話が途切れないようにするりと手話通訳者が交替していきます。

じっと見ていないと、交替したことが分からないほど、鮮やかな動作でした。
「影法師」のようでした。縁の下の力持ちですね。


私は、ほとんど手話を知りませんが、いくつか覚えています。
人差し指で頬を触って 親指 を立てる → お父さん
人差し指で頬を触って 小指 を立てる → お母さん
後に、この話が出てくるので覚えて置いてください。

さて、今回の主人公は「宙(そら)くん」です。
彼は、生まれつき難聴でした。わずかに聞こえていたようですが、完全に聴力を失ったのは1歳10ヶ月の時でした。
ハンディキャップがあるということは、社会での生きにくさを感じながら生活しなくてはいけません。父も母も少しでも長生きをしていたい。できれば、息子よりも先に逝きたくない。

父や母が死んだ後、息子はどうやって生きていけばいいのか。それを思うたび、両親の涙は止まりません。「子どもの前で泣いてはいけない」と思っていても、あふれる涙を止める術を知らないのです。

つづく
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