太釈さんの法話なブログ 言葉にならないことば その2

太釈さんの法話なブログ

高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

言葉にならないことば その2

1歳10ヶ月で聴力を失った「宙(そら)くん」の話を続けます。

 両親は自分と同じ悩みを持つ人をインターネット上で探しました。たくさんのホームページから自分たちと同じように子どもが聴力を失った、あるいは生まれつき耳が聞こえない子どもを持つ人がいることを知りました。

ホームページを開設している一人のお父さんとメールのやりとりを始めました。
「私たちは息子が聴力を失ってしまったことを知り、身も心も固まってしまいました。これからどうしたらいいのか分からないのです」

しばらくして返信が届きました。そこには、こう記されていました。
「それは普通なのです。なぜなら、生まれた時から耳が聞こえないのだから。聞こえないことが普通なのです。それは、不幸でも不便でもないのです。手話を通して話ができるのですから」

宙くんの両親は迷いました。手話だけで育てて良いものだろうか。もっと他に可能性があるのではないか。
聾学校の先生にもアドバイスをもらいました。
「手話だけではなく、声を出す練習をしなさい」

両親は戸惑いました。日本語が分からないのに、どうやって声を出したらいいのか。
先生は言いました。
「あなたは宙くんに『お母さん』と呼んでほしくないのですか?」

両親は決心しました。宙くんをこのまま抱きかかえてあげるのが親の役目なのだ。
聞こえる世界に引き寄せてあげればいいのだ、と。

つづく
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