太釈さんの法話なブログ あなたもお大師さま その3

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高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

あなたもお大師さま その3

さて、大師を追い返してしまった衛門三郎には八人の子どもがいました。男の子が五人、女の子が三人いました。
大師が去った翌日、朝方から長男が「少し頭が痛い。熱があるようだ」と床に伏せてしまいました。あれよあれよという間に病状は悪化し、夕方には看病の甲斐なく亡くなってしまいました。

二日目、二男が長男と同じように朝方熱を出したかと思うと、夕方には亡くなってしまいました。
三日目には長女、四日目には三男と、毎日一人ずつ子どもが亡くなってしまいました。

「どうしてこのようなことになってしまうのか」
衛門三郎は泣き暮らす日々でした。

ある日、枕元に一人の僧侶が立ちました。ボロボロの衣、錫杖に鉢。その姿は屋敷に現れた僧でした。
「もしかすると、あの時の僧侶は四国を巡拝している弘法大師空海さまではなかったのか。何ということをしてしまったのだ」
衛門三郎は八人の子どもを亡くした後では、悔やんでも悔やみきれないことでした。

衛門三郎は、子どもたちの位牌の前で、奥さんに誓いました。
「お大師さまに会って罪を許していただくまでは家には帰って来ない」
と別れの水盃を交わしました。水盃とは、「もう二度と生きて会うことはなかろう」という今生の別れを告げる盃のことです。

衛門三郎は白衣に身を包み、手は手っ甲、足は脚絆、頭には魔除けの笠、右手に金剛杖を持って我が家を後にしました。 これは後の遍路姿であり、現在まで受け継がれています。

つづく
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