太釈さんの法話なブログ あなたもお大師さま その6

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高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

あなたもお大師さま その6

さて、ある檀家さんの話です。

五人ぐらいのグループでお四国さん(四国八十八ヶ所霊場の巡拝のこと)のツアーに参加していました。
徳島県の札所は平坦なところが多いですが、札所によっては石段が一〇〇段以上あるところもあります。四国霊場10番札所切幡寺は333段の石段があります。登り切ったところに本堂があります。
ちょうど七月ごろで蒸し暑いときでした。

足腰に自信がない人も不思議と足が前に進みました。333段を上りきったところに一人の年輩の男性が座り込んでいました。顔も血の気がなくて青白いです。
「これは大変」
と声をかけましたが、返事が無く、息が荒いです。

「いけるけんな、いけるけんな」
檀家さんは背中をさすったり、自分のお茶を飲ませたりと必死に介抱しました。
座り込んでいる男性はお茶を飲む気力も無い様子でしたが、檀家さんのすすめで一口お茶を含み、ゆっくり飲み込みました。二口、三口と口に含むと、やっと落ち着いてきました。軽い脱水症状か、あるいは熱中症だったのでしょうか。

ふと、我に返ってまわりを見回すと誰もいないことに気が付きました。てっきり同じツアーの人かと思っていたら、そうではなかったのです。
座り込んでいる人を一人で置いておくわけにもいかず、困っているととツアーの一行が本堂から戻ってきました。

「次に行くよ」
と声をかけられ、座り込んでいる男性にも元気が戻ってきた様子だったので別れを言ってバスに戻りました。

バスに戻ってこの話をすると
「あんた、お大師さまだったのよ」
と、言われたのです。

つづく
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