太釈さんの法話なブログ 今年の桜が見たいねぇ

太釈さんの法話なブログ

高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

今年の桜が見たいねぇ

故人につけられた戒名は、漢字が並んでいて意味がよく分からないものです。
仏教的にありがたいのかも知れませんが、仏教や戒名に馴染みのない遺族にとってどのような意味があるのか分からないことが多いです。わざわざ戒名の意味を紹介してくださるお坊さんは、あまり多くありません。

2月の中旬に突然の訃報がありました。
訃報は私の寺で地区の総代をしてくださっている方の兄弟からもたらされました。故人はつい最近、お母さまの三回忌を済ませたばかりです。私が三回忌にお目にかかったときは、少し顔色が悪いように見えましたが元気になさっていたので、訃報に驚きました。

故人のお葬式を執り行うにあたり、私は故人に戒名を授けます。
わざわざ戒名の意味を紹介するお坊さんは少ないですが、私はあえて戒名の意味を説明することにしています。
また、戒名の意味を知ることで供養の意味も理解できるようになります。

戒名は故人の生前を映し出す鏡のようなものです。戒名から故人の生前の姿が浮かび上がってきます。そして、戒名を見るたびに故人を思い出すことができます。

今回は、ご遺族の希望で戒名に「桜」という字を入れることにしました。
故人が息を引き取る前、「今年の桜を見たいなあ」としきりに言っていたからでした。残念ながら故人は桜を見ることなく亡くなってしまいました。ご遺族は故人が見たかった桜を戒名として残したいと考えたのです。

戒名は3つのパーツに別れています。
〇〇院・・・院号
〇〇△△居士・・・〇〇の部分を道号、△△の部分を戒名と言います。

私は道号に「桜峰」と入れました。
桜が満開の時期を迎えると、山は桜が咲いている部分だけが華やかに色づきます。一年で桜の咲く時期にしか見ることができない景色です。故人が見たかった景色は桜の峰だったと私は考え、道号に桜峰としたのです。

来年、再び山に桜が咲くと戒名にある「桜峰」から故人を思い出すことができます。
いつまでも故人を忘れないことが供養なのです。

散ってしまったとしても、毎年桜が咲くように、故人を忘れないことが供養なのです。
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