太釈さんの法話なブログ 一杯のお茶

太釈さんの法話なブログ

高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

一杯のお茶

昨日の戦没者慰霊祭にて。

戦没者慰霊祭も4回目です。
毎年、「戦争を起こさない心」をテーマに法話をさせてもらっています。

今回は、「一杯のお茶」というお話です。




うだるような暑さが来るようになると、
いつも思い出す亡き祖母の話。

戦地に向かう息子に、
最後の面会に九州の佐賀から宇部まで行ったときの話。

最後の面会だから行ったけどね、とうとう会えなくてね。
大きな船だけ見て帰ってきたよ。
あの船の機関士さんをしているとね、と思いながら、
別れをしてきたよと言っていた。

「れいしょ 第114号 善徳寺 発行 2011年8月」より

三〇歳の誕生日を迎えた記念に、自分の力で何かをしようと思い立ち、四国88カ所霊場を歩いて巡礼することにしました。体力に自信があったので、颯爽と一番札所を後にしました。順調に打ち終えていきますが、三日もすると慣れない徒歩で足の疲れがたまってきました。やがて山道に入ると負担も大きく、足の裏が痛み始めました。

どうしても次の一歩がでなくなり、足の裏には大きな肉刺(まめ)ができていました。ついに木の陰で身を投げ出してしまいました。疲れもあったのでしょう、1時間ほど眠っていたようです。

「お遍路さん、お茶をのまんかね。よう冷えとるよ。」
穏やかな声に目を覚ますと、日焼けした老人の顔がありました。四国ではお接待というお遍路さんをもてなす文化があります。
ありがたくお茶のお接待を受けながら足の痛みや肉刺のことを話すと、老人はケラケラと笑って言いました。
「ワシは陸軍の兵隊だったが、あれだけ丈夫な靴を履いていても肉刺はできたもんだ。その時はな、針に糸を通して、糸に赤チンをたっぷり塗って肉刺の端から端へ通して、グジュグジュと洗ったらおしまい。簡単なものだ。お遍路さんもやってみな。」

この時に聞いた、「一杯のお茶」の話が忘れられない。

つづく

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