太釈さんの法話なブログ 宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その5

太釈さんの法話なブログ

高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その5

「やっぱり、今年も」
言い澱んでしまいました。誰しも「それ」だけは避けたい。しかし、妙案がないのであれば仕方がない。揺れ動く心が痛みました。

「そうだ、おじゅっさんに相談してみるべ。」

困った時の神頼みならぬ住職頼みにやってきた村の人たち。何か良い知恵を授けてもらおう、あわよくば住職の法力でどうにかしてもらえないものか。虫の良い話を承知で集まりました。

難問は、もうひとつありました。

住職は近隣では有名な頑固者です。気に入らないことがあれば、震え上がる程の大声で一喝すると二度と現れません。どんなに謝ってもだめです。

話だけでも聞いてもらえないものかと、小僧さんに取り次ぎを頼みました。待つこと一刻。互いに顔を見合わせて「帰ろうか」と目で合図をしていた時でした。「ガラッ」
突然にふすまが開き、目付きの鋭い人が現れました。あまりに唐突だったので、村人たちは腰を抜かさんばかりに驚き、逃げ出そうとしたほどでした。

「逃げることはない。ワシじゃ。」
住職はいたずらっ子のような顔をして座りました。
「話とはなんじゃ」

村人はかわるがわるヘビにほとほと困っていることを話しました。住職は腕組みをしてじっと聞き入っていました。最後に「人身御供」のことを切り出したとき、住職は地響きのするような大声で「それだけは、いかん」と言ったのです。眼はギラギラと怒りで燃え盛り、今にも一歩を踏み出して掴みかからんとするような勢いでした。まるで、炎を背負った不動明王のようでした。

つづく
関連記事
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する