太釈さんの法話なブログ 宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その8

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高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その8

さて、今日は珍しくお酒のとっくりを提げていました。
「どうぞ」
透き通るような声で住職を中に招き入れました。

いつものように誰も付けていないことをひとしきり確認した後、戸を閉めました。それほど警戒しなくてはいけないこととは、何だったのでしょうか。

「お酒、ですか。」
戸惑ったように尼さんが言いました。僧侶として酒を禁じられているはず。互いにそれが分かっていて、住職はあえて禁を犯しているのです。尼さんが戸惑うのは無理もありません。

「今日は私に知恵を授けて欲しい。」
唐突に切り出すと、酒をぐっと一飲みしました。

「酔っておられるのですね。」
スッと紅を引いたように微笑むと、尼さんはお酒をつぎました。
「すまぬ。」
その声は、やや震えているようでした。
「どうなさったのですか。」
ただならぬ決意で来ていることを、尼さんは感じながらも素知らぬふりをしていました。

住職は黙って盃を重ねます。尼さんも静かに酒をつぎました。
無言のやりとりが続くこと、一刻。
すっかり酔いがまわった頃に、やっと住職が重い口を開きました。

つづく
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