太釈さんの法話なブログ 宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その9

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高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その9

「わしと夫婦になってくれぬか」
突然の申し出に、尼さんは盃を落としてしまいました。

重い沈黙。
住職がそういうことを軽々しく言わないことをよく知っているだけに、心の奥を察しかねました。

「私でよければ、お話しくださいませんか。」

住職は尼さんと目を合わせると、いつものよく通る声で話し始めました。ヘビが山から下りて村を荒らしていること。ヘビを殺しても親玉が仕返しに来ること。そして、人身御供のこと。

「わしの法力で何とかしたいと、思うておる。護摩を焚いてヘビの法力を感じてみた。奴は炎となってわしにかかってきた。わずかな護摩の火でも、こうじゃ。どうにもならぬ事もある。その時は、この身をもって代えたいと思うのじゃ。」

法力と法力がぶつかれば、どちらかの息の根が止まるまで勝負がつくことはありません。共倒れになることを覚悟で、別れの盃を交わしに来たというのです。

「わしは、そなたを観音さまだと思っておった。どのような身の上でこの地に身を隠しているのか、それはどうでもよいことじゃ。命尽きるなら、観音さまの所へ行きたいと思うてな。これでも、怖いのじゃ。それが言えるのが、そなたしかおらぬ。戯れ言だと聞き流しておくれ。」

そう言って、盃をあおると立ち上がって帰ろうとしました。

つづく
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