太釈さんの法話なブログ 宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その10

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高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その10

「お待ちくださいませ。」
尼さんのリンとした声が響きました。

「お察しの通り、私は都の者でございます。命を狙われておりますゆえ、ここに身を隠しております。それも、もう限界でございます。私もこの地を去るつもりでございました。御住職と出会えてうれしゅうございます。別れに舞を披露したいと存じます。」
そう言うと、観音さまが蓮の花にお立ちになるようにスッと立ち上がり、扇子を広げ舞い始めました。

その悲しげな歌声と舞う姿は、住職の目にしっかりと焼き付きました。幽玄で風が吹き抜けていくように扇子が、尼さんが舞いました。

「見苦しゅうございました。」
舞を終えたその姿は、京の高貴な雰囲気を漂わせていました。

「今生の別れぞ。」
流れる涙はそのままに、尼さんと別れを告げました。

つづく
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