太釈さんの法話なブログ 宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その11

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高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その11

3日後です。

村人たちは、再び寺を訪れました。
「妙案とは、どんなものかのう。」
「住職のことだ、あっと言わせるような妙案を持っているに違いない。」
ひそひそとうわさをしていました。

そこへ、この前と同じように突然にふすまが開き住職が現れました。
今度こそは腰を抜かさないように、と用心していた村人たちも再び転げ回るようにびっくりしてしまいました。
「この人はヘビのように音を立てぬ人じゃ。もしかしたらこの人がヘビの親玉か?」
村人たちは不謹慎なうわさをコソコソと言い合いました。

住職は聞こえていないような顔をして、村人たちを見回しました。
「妙案がある。」
地響きがしそうな大声で言いました。
ゴクリ、とつばを飲み込む音が聞こえてきそうなほどの沈黙。

「妙案がある。」
もう一度住職は言いました。

「ワシが人身御供になればよい。」

あっけないほどの案でした。
住職が人身御供として小屋にこもり、やってきたヘビの親玉をやっつけるというのです。

確かに犠牲が出なくてすむ。しかし、住職がヘビに飲まれてしまったら。
村人たちの不安を察したかのように、住職は言いました。
「互いに果てるまで戦う。それが法力の戦いじゃ。」
住職も、我が身を賭けての戦いであることは承知していました。自分が倒れても相打ちにする。その覚悟でした。

そこまで言うのであれば、と村人たちはすべてを住職に託すしかありません。
祈るような気持ちで、宝福寺を後にしたのでした。

つづく
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