太釈さんの法話なブログ 宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その12

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高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その12

さて、人身御供の当日。
満月の夜に山奥の沼からヘビの親玉が出てくると言います。
月光浴をしているのでしょうか、大きな体を器用にとぐろを巻き、月を見上げているのだそうです。
しばらくして、恐ろしさに凍え、嗚咽を漏らしている人身御供へと襲いかかりひと飲みにしてしまうらしいのです。

「らしい」というのは、それを見たものは誰もいません。
想像から作り話になり、いつしか本当のことのように語られました。

人身御供のために建てられた粗末な小屋。
中はむっとするようなヘビの匂いが立ちこめています。あの大きな体でどこから入ってくるのか、想像したくもないものです。壁には「ぬめり」としたものがこびりついています。きっとヘビの体液なのでしょう。ものすごい悪臭を放っています。一時も居たくない場所です。

ヘビは満月の夜、丑三つ時に現れます。
その時刻に人身御供の悲しげな悲鳴が、遠くから聞こえるからです。村人たちは体を寄せ合い、その日は眠れません。誰かを犠牲にして、自分の命を生きながらえているという罪悪感がひしひしと心をむしばむのです。

つづく
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