太釈さんの法話なブログ 宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その13

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高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その13

ザッ、ザッ、ザッ。
枯れ葉を踏みしめる音が近づいてきました。宝福寺の住職、元意(げんい)上人でした。手には1本の三股杵と念珠のみ。これからヘビの親玉と法力合戦を繰り広げるなど想像も付かないほど身軽な姿でした。しかし、顔は不動明王のように青く、怒りの炎が目に宿り、背中から火炎が出ているようでした。

ヘビが住むという沼を一周すると、人身御供の小屋に入りました。静かに座ると真言を唱え始めました。
「ノウマクサンマンダ バザラダン センダ マカロシャダ ソワタヤ ウンタラタ カンマン」
自身が不動明王となるために一心に真言を繰り始めました。

やがて、苦しそうな音を立て沼の奥底から声のような、唸りのような、地響きのような音が聞こえてきました。
「うぉぉぉぉぉ、あぅぅぅぅぅぅ」

沼の水面が波打ち、ゴボゴボと水泡を上げました。
水が沸騰するかの如く、そこから何か湧いてくるようでした。

「ごふぅ。」
沼から現れたのはヘビの親玉でした。しかし、ただのへびではありません。頭が人の顔をしているのです。

「やっと姿を現したな、白龍よ。」
名を呼ばれたヘビは、さも苦しそうに身をよじりました。

「どうして俺の名を知っている。なぜだ。おまえは何者だ。」
フフ、と笑って宝福寺住職・元意上人は答えました。
「もう忘れたか、ワシは元意だ。」

ぬぅ、とヘビが悶えました。
「そうか、おまえか。まだ生きておったか。」

不思議な会話をする二人は、なぜ互いを知っているのでしょうか。

つづく
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