太釈さんの法話なブログ 宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その17

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高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その17

ふらりと立ち寄った旅人が、その話を聞いていました。
「その話、もう少し聞かせてはくれまいか。」

水を向けられた茶屋の主人は、困っていることを洗いざらい話しました。ふらりとやってきた山伏のような男が、山の頭首を法力で倒し乗っ取ってしまった。心ある弟子は山を去ったが、荒くれ者が山に集まり、「山は聖域だ」と言い出した。誰も近寄らないように結界の綱を張り、見張りのものが常時いる。薪を取りに行こうとした村人がケガを負わされたり、山菜採りに入った夫婦が行方不明になったりしている。あの山伏が来てから何も良いことはない。

「それだけではないようじゃ。」
茶屋の主人は顔を寄せてヒソヒソ声になって言いました。
「山伏は山を荒らして動物たちを追い出した後、ヘビを飼っているらしい。何の目的かは知らんが、その数は尋常ではないそうな。何か悪いことを企んでおらなければいいのじゃがな。」

ヘビを飼っている、という話にぞくっとしたものを感じた旅人は、少し思案顔をした後に茶屋の主人にたずねました。
「もしかすると、最近カラスやイノシシを見かけないのではないかな。」
茶屋の主人は、目を真ん丸にして聞き返しました。
「どうしてそれを?」
旅人は、深いため息をついて立ち上がりました。
「世話になったな。これはほんの礼じゃ。」
置いていったのは、見事な小判でした。村人が一年暮らせるぐらいのお金です。

音もなく去って行く旅人に、茶屋の主人は小判を持ったまま口をあんぐりと開けて見送っていました。
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