太釈さんの法話なブログ 宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その20

太釈さんの法話なブログ

高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

宝福寺ものがたり ヘビ退治編 その20

あれから、30年の歳月が流れました。

元意上人は、宝福寺の先代住職に見出されて一番弟子となりました。どこから来たのか分からない流浪の坊主を一番弟子にすることに大きな反対があったのですが、元意の人柄に誰もが納得しました。ただ、その大きな声と、人をびっくりさせる態度は変わらなかったようですが。

さて、再会を果たした元意上人と白龍は最後の決着を付けなくてはなりません。いつまでもヘビ神のままで人々を困らせるのではいけません。最後を見届けるのは自分しかいないと元意上人は考えていました。ヘビが手下を使って村を荒れさせ、気に入らない村人を飲んでしまうのは白龍の仕業であることはピンと来ました。それも執拗に村人を痛めつけていることも、白龍の性格と一致しました。
「自分を邪魔する奴は容赦をしない。」

白龍と戦った後に、自分は相打ちになることが分かっていました。法力は五分と五分。一瞬の隙が勝敗を分けます。白龍の供養は自分がしなくてはいけないという思いで今日まで生きてきました。心残りは観音さまのような尼さん。昨日別れを告げてきました。

ケ、け、け、と楽しそうに笑う白龍。
「そんなにおれに飲まれたいか。ならば思い通りにしてやるわ。」
巨体からはとても想像できないような動きで元意上人を追い詰めます。元意上人も不動明王の真言を唱えながら応戦します。離れて見れば、ヘビと不動明王が炎の中で戦っているようでした。

「むぅ。」
元意上人の三鈷杵は、いつの間にか剣のように先が伸びています。不動明王が手に持つ剣のようです。一閃した剣がヘビの喉元をかすめました。ドロリと流れ落ちる血。
ギロリと睨んだ赤い目が怒りに燃えました。

ヘビは元意上人の背後から絡みつき、体に巻き付いてしました。
「け、け、おまえも年を取ったな。ワシはヘビになって年を取らなくなった。ヘビ神だからな。」
さもうれしそうに元意上人の顔をヘビの長い舌でなめ回します。

「おまえはひと飲みにしてはおもしろくない。どこから喰らって欲しい?」
身動きできない元意上人はヘビを睨み付けるばかりでした。

「おまえはいつもそうだ。おれの言うことに答えず、黙って見るだけ。何か言ってみろ。」
元意上人は、ふ、ふ、と笑いました。
「あの時と変わっていないな。」

カッと目を見開いたヘビは、ギリギリと元意上人を締め上げました。胸を圧迫されて息ができず、意識が遠のいていきます。
「もはや、これまでか。」
関連記事
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する