太釈さんの法話なブログ 許すこと

太釈さんの法話なブログ

高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

許すこと

ある男性は子どものときに、自分と母親を捨てて、
他の女性のもとに走った父親をずっと恨んでいました。

「お父さんがいなくなったから、お母さんはこんなに苦労をしているんだ。
 絶対に僕はお父さんを許さない。」

と思って生きてきました。

十数年後、しばらく連絡のなかった父親が、入院していることが分かりました。

医師から
「がんのために入院しています。余命3ヶ月だと思ってください」

と連絡があったからです。

「これまで勝手に生きてきたのに、何で今さら連絡があるんだ? 
 一言、文句を言ってやる」

と思って、病院を訪ねました。

彼が医師に案内をされて病室に入ると、ベッドにやせ細った老人が眠っていました。
それは年老いて小さくなってしまった彼の父親の姿に間違いありませんでした。

その姿を見て彼は何も言うことができません。なぜか涙が溢れてきました。

しばらくして、目を覚ました父親は、ベットの横に立っている彼を見ると、
すぐに自分の息子だと分かったようでした。

一瞬、驚いた表情をしましたが、父親は何も言わず、黙って彼を見つめていました。
二人は無言のまま、しばらく見つめ合っていました。

やがて、父親はゆっくりと目を閉じて眠り、彼はゆっくりと病室を後にしました。

「父に文句を言いに来ました。でも、父を見た瞬間に、
 なぜか、すべてを許すことができたんです。
 父も必死に生きてきたんだと思えたからかもしれません」

と彼が医師に話すと、

「この写真で連絡先が分かったんです」

と1枚の写真を手渡されました。それは、彼が小学校1年生のとき、
野球のユニホームを着てお父さんと一緒に撮った写真です。

その裏には名前と連絡先、そして誕生日が大きな字で書かれていました。

 
過去の辛い出来事が他人のせいである場合、その思いを持ち続けても、
良いことは何1つありません。

過去の事実を変えることはできません。

しかし、受け止め方を変えることはできるはずです。

テニスオーナーの本音トーク(まぐまぐ!メールマガジン)より


「許さない」と決心してそれを貫くことより、「許す」ことの方が何倍も難しいものです。
すぐにクレームを言って怒り出す人が多くなっていますが、許す心を持ちたいものです。
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