太釈さんの法話なブログ 春はあけぼの その4

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高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

春はあけぼの その4

翌日、彼はトレッキングスタイルに身を固め、やる気満々で待っていました。
「遅いじゃないか、早く行くぞ。」
言い終わらないうちに、彼はスタスタと歩き始めました。

山を縦走する、という表現がぴったりのコースをとって彼は目的地を探します。もちろん、目的地は「明雲(めいうん)」です。ほこらのようなものがあるに違いない、というのが彼の主張です。
主張はいいのですが、もっと計画的になれないものか。振り回されてばかりいる自分の不甲斐なさに、落ち込むのです。

頂上が近いと思われるところで、彼は足を止めました。
「あそこは、少し高くなっていないか?」
息を整えるだけで精一杯の私は、返事もできませんでした。
慎重に近づいていき、枯れ枝や落ち葉を払うとそこには「ほこら」がありました。何を奉っていたのか、ただの石碑だったのか、それすらもはっきりしません。
苔むした石の塊は、崩れ落ちて原形をとどめていません。

「何か書いていないものか。」
郷土史の調査員としての血が騒ぐのでしょう、彼は丹念にただの石の塊とかしているほこらを調べ始めました。私はペタンと座り込み、事の成り行きを見守ることにしました。

つづく
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