太釈さんの法話なブログ 仏は「ほどく」につながる その3

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高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

仏は「ほどく」につながる その3

医者に言われたとおり、嫁は毎日優しい言葉をかけ、手足をマッサージし、好きなものを食べさせました。頑なだった姑も心を許すかと思いましたが、態度が変わることはありませんでした。

毎日1包ずつ、薬を飲ませました。元気になるから、という理由を付けて。

10日、20日と日が過ぎて30日目が来ました。
医者に言われたとおり、30包を飲み終わり姑の床を準備していた時でした。

「あなた、話があるの。」
嫁は心の中でうんざりしながらも、顔に出すことなく姑の前に座りました。
突然姑は佇まいを正し、両手を突いていいました。
「私を許してください。」
何を言い出したのかさっぱり分からず、嫁はポカンとしてしまいました。

「私があなたにつらく当たってきたことをお詫びしなくてはいけません。当家の長男の嫁として、誰の前に出しても恥ずかしくないようにと思い、厳しいことを言ってきました。言い過ぎたことは数知れずありました。今日を限りにあなたに家督を譲ります。誰の前に出しても立派に勤め上げることができると、私は確信しました。今後のことは、任せます。よろしく頼みます。」

あまりのことに、嫁は事態が飲み込めませんでした。姑の「後のことは、任せます。」という言葉が心に染み入ってるとともに涙が溢れました。そして、家を飛び出していきました。

嫁の頭をよぎったのは「薬」でした。
「毒を飲ませてしまった。どうしよう。」
医者の家が遠く感じられました。

つづく
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