太釈さんの法話なブログ 戦没者慰霊祭2013 その7

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高野山の布教師 太釈さんがミニ法話を綴ります

戦没者慰霊祭2013 その7

日本へ帰る船の中で日本人同士の争いがおこりました。その理由は「収容所で理不尽な扱いを受けた」というものです。
「リーダーだったものは、立場の低いものに仕事をさせ、自分たちは少しでも楽になるようにしていた。命を落としていったのは、みな立場の低いものばかりであった。そんな理不尽な扱いをされたのに、同じ船で日本へ同じように帰るのか。おかしいのではないか。」
扇動しているものが数名、その周り同調するものが30名ほど。

著者はその中へつかつかと入っていき、「私の話を聞いてください」と第一声を上げました。何を言い出すのかと、一瞬水を打ったように静まりかえりました。
「私たちはいよいよ明日日本へ帰ります。こんなぼろの服を着て何も持たずに。しかしこうして五体満足です。戦友はまだシベリアの氷の下で眠っています。まだ働いている人たちもいます。収容所ではいろいろなことがあったでしょう。今復讐をして何になりますか。復讐は、復讐を生み互いに傷つくだけです。それより、祖国で待ちわびている家族のため、敗戦で疲弊している日本の立て直しのために力を使うべきです。」

物を言えば涙がこぼれそうになりながら船のタラップを折り、日本の土を踏みました。
帰国した帰還兵たちはそれぞれの国に帰るべく指示を待っていました。そんな時に、著者はアメリカ軍の取り調べを受けました。人によっては瀕死の状態で帰ってくるものもいて、決して逆らわないようにと言われていました。

取り調べで著書はこう言いました。
「勝った国も負けた国も、人と人とが殺し合う戦争の虚しさ、悲惨さを身をもって体験しました。シベリアで三年いた時に出会ったソ連(現在のロシア)の人は素朴で気の良い人でした。互いに理解し合えば戦争はなくなるfはずです。運良く帰ってきた私たちは、2度と戦争が起きないように努力することが使命だと思っています。」


つづく
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